コロンビア大学ロースクール(Columbia Law School, LLM)の受験プロセスや受けてみての感想をつらつらと書いていこうと思います。受験プロセスについては、年度によって変わる可能性がありますので、受験生の方は自分で各大学のHPやLSACをご確認ください。
コロンビア大学概要

Columbia Universityは、米国ニューヨーク・マンハッタンに所在する私立大学です。名門8大学であるアイビーリーグの一つとされています。米国がまだ英国植民地だった時代(1754年)に、英国王ジョージ2世によってKing’s Collegeとして設立されました。
このため、今も大学のシンボルとして王冠(King’s Crown)が用いられています。
なお、Columbiaという語は、アメリカ大陸を「発見」したコロンブスに由来しています。ラテン語では国名は女性名詞とするのが通例であったよう(Britannia, Germania, Italia, Hispania…)で、その影響もあり、今でいう広義のアメリカを、Columbus を女性名詞化したColumbiaと名付けたようです。余談ですが、「アメリカ」も探検家アメリゴ・ヴェスプッチの名前を女性名詞化していますね。
コロンビア大学は、米国が英国から独立した後(1784年)に、King’s Collegeは気に食わんということで、改名されたものだそう。「王の大学」から「共和国の大学」へ生まれ変わった歴史が名前そのものに刻まれているのは、面白いなぁと思います。他には、米国の首都もコロンビア特別区ワシントン(Washington D.C.)ですね。
ちなみに私も、コロンビア大学進学が決まってこの由来を調べるまでは、「コロンビア」と聞くと、南米の国名とアタック25のネットミームしか思い浮かびませんでした。ただし、国名としてのコロンビアは1819年からなので、大学の方が先です。

コロンビア大学ロースクール
Columbia Law School (“CLS”)は、米国のトップロースクールとされる「T14」の一つであり、コロンビア大学メインキャンパス(NYセントラルパークの北西端のそば)の、東の端に位置しています。
コースは、主に以下の3つです。
- J.D. (Juris Doctor)
- LL.M. (Master of Laws)
- J.S.D (Doctor of the Science of Law)
このうち、J.D.が本流のコースで、基本的には米国人が法律を基礎からみっちり3年間勉強して法曹を目指すためのものです(15%程度はinternational studentsもいるようです)。一学年450名程度なので、単純計算の合計で1350人程度の規模となります。合格者の学部GDPの中央値は3.92、合格率10%程度の超難関校です。
一方でLL.M.は、基本的には、米国以外で法教育を受けた外国人が、1年間で米国法を学ぶためのコースです。米国のどこのロースクールでも同じですが、LLMは、J.D.の人からしてみると「留学生が1年間だけ遊びに来ている」程度に過ぎないんでしょうね。
私が受験したのはこのLLMです。LLM生が「米国ロースクールに行った」と自称するのは、医学部看護学科の人が医学部と名乗るとの同じ感じ(決して嘘ではないが盛っているように周りから見られる)なんでしょうかね、アメリカの弁護士の前で驕り高ぶらないようにしましょう(自戒)。なので、この記事のタイトルは若干詐欺的です。なんかカッコいいのでこう書きました。
LLMは毎年300名程度の規模感ですが、このうち日本人は毎年20人程度いるようです。結構多いですよね。
最後のJ.S.Dは、研究者志望の学生が博士号をとるための最上位コースです。全学年を含めても10数人しかいません。なお、この3つのコース以外にも、Executive LL.M.という、短期研修プログラムのようなものもあるようです。
LL.M.アプライ要項
CLSのLLMのHPには、合格基準を示す以下の4文が象徴的に書かれているので、まずはそれを紹介します。
- Holistic Review.
- Academic strength is essential.
- Professional experience matters.
- English language skills are essential.
Holistic Review
Holistic Review(ホリスティックレビュー)とは、学部のGPA等の数値だけではなく、これまでの経験や人間性など色々な観点を踏まえて入学審査をしますよ、ということです。HPでは、”No one factor on your application is more important than another”と書かれていました。
まぁ、どこのロースクールでも同じようなことが謳われている気はしますが、CLSは要求学部GPAがハーバードや英国の大学と比べるとそこまで高くなかったり(後述)、弁護士資格を持たない人もある程度受けて入れていたりと、懐が深い感じがします。
Academic Strength (GPA)
Holistic Reviewとはいいつつも、最低限のGPAは必要です。私は学部時代のGPAが3.4でしたが、過去の記録を見ると、3.0点台前半があれば最低限の要求は満たしていると言えそうです。
なお、基本的にどのロースクールでもfirst law degree(= 法学部を出ている人は学部)のGPAが最も重視されるのですが、 CLSは親切にも、”This does not mean you should worry about a mistake you made during your first law degree; in fact, what you have learned from your mistakes is helpful to our process”と書いてくれています。
学部のGPAが2点台の人も、例えば法科大学院や司法修習で頑張っていれば合格の可能性はあるかもしれないので、言い訳を出願書類のどこかに散りばめた上で、諦めずに出願してみるといいと思います。
Professional Experience
CLSは、職務経験の必要性を他のロースクールよりも強く打ち出しており、最低でも一年の職務経験がほぼ必須となっています。(”we strongly encourage applicants to obtain at least one year of full-time, post-law school work experience prior to applying”.)
まぁ、日本人で学部やロースクールを卒業後すぐにLLMを受験する人はほとんどいないと思うので、受験資格要件としては気にする必要もないかもしれませんが、Personal Statementでは、自身の職務経験と学びたいことをうまく紐づけて書くと高評価に繋がりがちな可能性はあります。
English Language Skills
CLSのLLMは、TOEFLやIELTSの要求スコアが高い(TOEFLでoverall 5.5、各セクションで5。IELTSでoverall8)ことで知られています。合格者も、他のロースクールに比べて点数が高い人が多い気がします。
ただ、このスコアに到達していなければ直ちに不合格、というわけではなく、少し下回るくらいであれば、英語以外の要素を踏まえて合格を出してくれている年もあります。実際、TOEFLの旧形式のときは、105点が最低スコアでしたが101点の人にも合格を出しているケースもあります。一方で、105点を下回っている人はことごとく落ちた年(2023年)もあったようで、結局そのときのAdmission Office の方針に左右されるところがありそうです。確実に受かりたいのであれば、最低点は取れるように頑張りましょう。
出願書類・出願時期
CLSのLLMに出願するために準備が必要な書類は、TOEFL/IELTSを除けば、以下の3つです。
- Résumé (履歴書)
- Personal Statement (志望理由書)
- Letter of Recommendation (推薦状)2通
これらを、出願期限(通常は12月2日頃)までにLSAC上で提出する必要があります。
私は、2025年9月上旬にRésuméとPersonal Statementを書き始め、かつ同時期に推薦状の執筆のお願いをしました。開始が少し遅いかもしれませんが、英語のスコアメイキングの方が急務だったので、9月まではそちらに注力していました。
なお、CLSのLLMはRolling Basis(早く出願した人から先に審査をして合格を順次出す方式)を採用していないので、出願の時期による有利不利はありません。私は、出願期間の最終日に提出を完了させました。そこまでギリギリなのはあまり推奨できませんが、ある程度出願期間の最後の方まで粘り、良い文章を作り上げてから出願するのをお勧めします。
Résumé、Personal Statement
RésuméとPersonal Statementについては、大手受験予備校の添削コースを受講しました。これまで留学した周りの人が受講していたので、強迫観念にかられて申し込んだのですが、正直な受けてみた感想としては別になくてもよかったかな、という感じです。EssayEdgeなど、単発でレビューの依頼ができるサービスがあるので、そちらを利用することも検討すると良いと思います(一回使いましたが、かなり詳細なレビューをしてくれました)。
CLS向けのRésuméとPersonal Statementを書いた時に気にしたことは、気が向いたら別途記事にまとめようと思います。
推薦状
推薦状は、学部のゼミの担当教授、司法修習の教官、職場上司の3名にお願いしていましたが、CLSのLLMは推薦状は2通しか受け付けないので、ゼミの担当教授と職場上司の2通を提出しました。これは、「Law Schoolの教授と職場上司の各1通が望ましい」というCLSの基準に合わせたものです。
推薦状を依頼するときに個人的に意識したポイントを以下列記してみます。
- 早めにメールで打診する
推薦状の執筆や提出はかなり手間がかかる作業なので、早めに連絡を取りましょう。 - 最初の依頼メールを送る時に、自分を思い出してもらう
こんな奴覚えてないから断ろう…なんてことにならないように、できれば依頼時に先生に自分を思い出してもらえるような要素を記載するようにしましょう。私はゼミで用いたプレゼンテーション資料を添付しました。 - 推薦状を推薦者自身で執筆してもらうことを前提にして依頼する
人によっては、学生側で推薦状をドラフトするように依頼される方もいるようですが、最初から「自分で作成することでよいでしょうか」などと聞かないようにしましょう。これだと、自分の思うがままな推薦状を出したい欲求が丸出しで、あまり良い気がしない人も多いと思うので。書くとしても、「何かお手伝いできることがあれば何でもしますのでお申し付けください」程度ではないでしょうか。
ちなみに、私の先生は全て自分で書くスタンスの方だったので、全て先生に書いていただきました。 - 対面できちんと挨拶する
メールで依頼を済ますのではなく、執筆を受諾してもらえたら一度直接挨拶に伺いましょう。もちろん菓子折り持参です(断じて賄賂とかではないんですが、礼儀を失したことで推薦状をちょっとでも悪く書かれたら目も当てられません)。また、この時に自分がゼミ等で頑張ったこと、推薦状に書いて欲しいことなどをリスト化し、印刷してもっていくようにすると良いと思います。 - 合格後も、メールで一報を送った上で、きちんと対面で感謝を伝える
これは単なる礼儀の話です。もちろん菓子折り持参です。
ゼミの教授は、卒業後関わりが全くと言っていいほどなかったのですが、お願いのメールをしたらとても丁寧にご対応していただき、ご挨拶に伺った際には大学の側のレストランでお昼飯も奢ってくれました。本当にありがたい限りです。司法修習の教官も、これまで推薦状を執筆されたことがないようで最初は不安そうにされていましたが、とても優しくご対応いただき、同じように事務所のそばのお店に何度も連れて行っていただき、夕食をご馳走してくださいました。感謝しかありません。ちなみに職場上司は、お忙しかったのかとても面倒そうにしていました。
合格発表とその後
3月7日(土)深夜2時頃(NY時間の3月6日(金)昼12時頃)に、大学からメールが届き、ドキドキしながらポータルにログインすると、スクリーンで紙吹雪が舞いました🎉。

合格発表後は、Facultyから「お前もLionにならないか?」と言われるための座談会ウェブセミナーがあったりしたうえで(コロンビア大の学生のことをLionという文化があります。ちょっとダサくない?)、4月1日頃までに入学金のdeposit ($1000)を支払うと、晴れて🦁Columbia Lion🦁になれます。
その後、入学までの間は、学校のシステムのアカウントを作成したり、ビザやらNY Barやら寮やらに関するウェブセミナーに参加したり、予防接種を打ったり、NY Bar Eligibilityの審査申請をしたり、ビザ用のI-20を大学に申請したり…等々の無数のタスクが降ってきます。毎週火曜日に、やるべきことをまとめたメール(”To-Do Tuesday”)が大学から親切にも届くのですが、やりたくなさすぎて3週間分くらい未読無視していました(非推奨)。
また同期の日本人間では、別の大学の合格祝賀会で会った人達のコミュニティをベースとして、早々にLINEグループが出来上がり、6月上旬に皆で飲み会をしました。結局留学中に困ったとき、最後に助け合えるのは日本人だと思うので、早めに仲良くなっておくことができてよかったと思います。幹事に感謝です。
最後に
今この記事は、コロンビア大学のプログラム2日目の授業後に図書館で書いていますが、今のところはCLSに来てよかったなと思えています。
ツラツラとコロンビア大学LLMの受験について色々と書いてきましたが、この記事が少しでも後輩の参考・モチベーションになれば幸いです。

